

カリビアンな人生讃歌ダンス・チューン<死ぬまで生きろ!>、浅川マキに捧ぐ追悼カヴァー<かもめ>他、ニューエスト・モデル<外交不能症>など初期楽曲のライヴ録音などを含む、全9曲入り46分の闇鍋歌舞音曲秘宝館。
2010年6月30日発売!
BM tunes/XBCD-1032/1,780円(税込)
★ライヴ会場&Artist-DirectShop 405限定特典付!
このライナーノートをあなたがご覧になっているのも生きているからこそ。めでたいことじゃありませんか。内閣府の「平成21年版 自殺対策白書」によると、日本の自殺者は2008年まで11年連続して3万人を超えるという異常な状況だ。しかも2008年の場合、10代後半から30代までの死因の1位は自殺。なんとも暗澹たる気分になる現実だ。
ソウル・フラワー・ユニオンの2010年第2弾マキシ・シングル『死ぬまで生きろ!』はそんな時代だからこそ必然的に産み落とされた作品だ。<死ぬまで生きろ!>は、タイトルからしててっきりハードなサウンドとヴォーカルで迫ってくるのかと思いきや、なんとスティール・パンの音色が響くカリブ風味の楽曲。
BLACK BOTTOM BRASS BANDのブラスや赤木りえのフルート、ヤヒロトモヒロのパーカッションも鳴るサウンドを聴いていると、遠くハイチの景色も見えてくる。そう、今年1月12日に発生したハイチ大地震では、生きることを望んでいたであろう20万人以上の命が奪われた。ソウル・フラワー・ユニオンはチャリティTシャツを製作して、ライヴ会場やサイトで販売している。
しかし、<死ぬまで生きろ!>を聴いていると深刻な気分になるどころか、どんどん胸が高鳴ってくる。怒るのでも説教するのでもなく、生の喜びを体感させる楽曲だからこそ、「死ぬまで生きる 我等の掟」という歌詞も説得力を持つのだ。ソウル・フラワー・ユニオンは時代と向き合うことでまた新境地を開いてしまった。「死亡率百% 生きるとはそういうこと」だからこそ死ぬまでに必ず聴け!
続く<かもめ>は今年1月17日に急逝した浅川マキの名曲のカヴァー。ソウル・フラワー・ユニオンは1997年にも彼女の<ちっちゃな時から>のカヴァーをリリースしていた。今回の<かもめ>では上村美保子がヴォーカルを担当。三線とともに太田惠資のフィドルが響き、よく聴くとエレキ・シタールの音もする。こうして自分たちのスタイルで消化しきることが、ソウル・フラワー・ユニオン流の浅川マキへの弔いなのだろう。
そしてライヴ音源の6曲は、ニューエスト・モデル時代の楽曲も含む幅広い選曲、かつ名演揃い。なかでも<外交不能症>は、普天間基地移設問題の迷走ぶりへの怒りを叩きつけているかのような熱演だ。辺野古と激しく共鳴するロックンロールがここにはある。
ほとんどフル・アルバムのような充実ぶりのこのマキシ・シングルを聴いていると、ソウル・フラワー・ユニオンは、シリアスさだけではなくペーソスやユーモアも感じさせながら人生の喜怒哀楽を表現しているバンドだと痛感する。そう考えると、ラストの<死ぬまで生きろ!(インスト)>は、いま生きている者たちの「生」を祝福しているかのように聴こえてくるのだ。2010年を生きるすべての人々に届くべきマキシ・シングル!
(文:宗像明将)