ソウル・フラワー・ユニオン
『ソウル・フラワー・ユニオン 結成20周年記念ツアー!』ツアー詳細
ソウル・フラワー・ユニオン
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安住を拒否する、唯一無二のロックンロール
2013年9月、結成20周年を迎えたソウル・フラワー・ユニオン。この20年―――前身のニューエスト・モデル、メスカリン・ドライヴの両バンドから数えると実に30年弱―――の歴史は、出会いに次ぐ出会い、変化に次ぐ変化の歴史そのものではなかったか。

今回、20年史を総括するアイテムとして登場したのが、現在までに制作されたヴィデオ・クリップを2枚のDVDに収録した本作『ゴースト・キネマ 1993〜2013』だ。待望の初DVD化となる1997年以降のクリップはもちろん、中川敬のソロ・プロジェクトであるソウルシャリスト・エスケイプ、阪神・淡路大震災を機にスタートしたソウル・フラワー・モノノケ・サミット、全国を旅する軽装部隊ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンといった別プロジェクトのクリップやライヴ・ショット、作品リリース時のTVSPOTやトレイラーなどのレア映像を、レーベルの枠を横断して一挙に収録した“決定版映像集”と呼ぶに相応しい内容となっている。

ヴィデオ・クリップ集という性質上、ここに収められた楽曲は当然、選りすぐりの代表曲ばかりであるわけだが、長い活動期間の中で生み出された膨大なレパートリーからするとほんの一握りに過ぎない。その一握りの中にも、トラッド、ソウル、ジャズ、パンク、レゲエ、ラテン、民謡、チンドン、そして根底に流れるロックンロールのエッセンスを随所に感じる事が出来る。ソウル・フラワー・ユニオンとしては、1997年12月から3カ月に1回のペースで精力的な全国ツアーを継続しており、“祝祭的” と評されることの多いライヴは、回を重ねるごとに揺るぎない確信と安定感を増している。とりわけ、演奏される機会の多い近年のナンバーに、ライヴに明け暮れる日々の中で自然に獲得した、しなやかなロックンロールの醍醐味が凝縮されていることを思わずにはいられない。

アイヌ、神戸、アイルランド、東ティモール、南北コリア、沖縄、そして東北。新たな出会いのたびに受けた刺激に即座に反応し、より深みを増した音楽性が自ら次なる出会いを呼んだ。バンドが歩んだこれまでの道のりは決して平坦なものではなかったはず。その間には幾多の障壁があり、メンバーの交代もあった。それでも立ち止まることを拒否し、出会いと変化を繰り返した20年間の強靭な活動を支えたのは、飽くなき探求心と創意工夫の妙、そして歳月の重さと裏腹のフットワークの軽さであった。

安住を拒否する、唯一無二のロックンロール。この20年間で生まれた膨大な楽曲群は、そのことを何よりも雄弁に伝えてくれる。
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