SOUL FLOWER UNION

アンダーグラウンド・レイルロード

1. グラウンド・ゼロ
GROUND ZERO
2. 風狂番外地
FUKYO-BANGAICHI(SAVAGE WILDERNESS ECCENTRICS)
3. 地下鉄道の少年 <95 Single Version>
CHIKA-TETSUDO NO SHONEN(A BOY ON THE UNDERGROUND RAILROAD)
4. 残響の横丁
ZANKYO NO YOKOCHO(THE REVERBERATION LANE)
5. マーマレードの甘い風
SWEET WIND OF MARMALADE
6. 燃やされた詩集
MOYASARETA-SHISYU(THE BURNED COLLECTION OF POEMS)
7. アップセッティング・リズム
UPSETTING RHYTHM
8. バクテリア・ロック
BACTERIA ROCK
9. 福は内 鬼も内
FUKU-WA-UCHI, ONI-MO-UCHI(IN WITH GOOD FORTUNE, IN WITH THE EVILS, TOO)
10. マレビトこぞりて
MAREBITO KOZORITE(ALL THE STRANGERS GATHER)
11. これが自由というものか
IS THIS WHAT FREEDOM IS ALL ABOUT?
12. 必要なことはカラダに書いてある
ALL YOU NEED IS WRITTEN ON YOUR BODY
13. 踊れ!踊らされる前に
LET'S DANCE! DON'T LET THEM DANCE US!
14. 世界はお前を待っている
SEKAI WA OMAE WO MATTEIRU(THE WORLD IS STILL WAITING FOR YOU)


初回限定特典CD
『Antifascist Railroad / Soul Flower Union with C.R.A.C.』
1. Upsetting Dub
Soul Flower Union(Dubbed by C.R.A.C.)
2. Tokyo Democracy Warfare
Counter-Racist Action Collective(ECD, ATS, MC JOE, Akuryo, S.B., G.R., SFU)
3. Strictly Antifascist
Counter-Racist Action Collective(ATS, Akuryo, G.R., SFU)
4. Dub Apple
Soul Flower Union(Dubbed by C.R.A.C.)
アンダーグラウンド・レイルロード
UNDERGROUND RAILROAD
ソウル・フラワー・ユニオン
SOUL FLOWER UNION

 BM tunes/XBCD-1046/¥3.000 + 税
 2014年10月8日 発売
 

『キャンプ・パンゲア』以来4年振りの超強力オリジナル・フル・アルバム!

偉大なる風狂の魂たちに捧げる<風狂番外地>、世界中の子どもたちに捧げる反レイシズム・ソング<地下鉄道の少年><残響の横丁>、新時代のライヴ・アンセム<グラウンド・ゼロ><バクテリア・ロック>、リー・ペリーのカヴァー<アップセッティング・リズム>、榎本健一のカヴァー<これが自由というものか>、SFUヴァージョンの<世界はお前を待っている>、ニュー・ミックスの<踊れ!踊らされる前に>etc...、After 311の憤怒と歓喜、邂逅と別離に詰まった、結成20 周年の集大成となる最新型魂花流クロスブリード・ロック全14曲!

ヒックスヴィルの木暮晋也、くるりの岸田繁、チャラン・ポ・ランタン、ヒートウェイヴの山口洋、シカラムータの大熊ワタル、ブルームーンカルテットの黄啓傑 等、豪華ゲスト・ミュージシャン参加!

会場販売&オフィシャル通販ショップADS405のみ、4曲入り初回限定特典CD『Antifascist Railroad / Soul Flower Union with C.R.A.C.』プレゼント!



SOUL FLOWER UNION / 2014

Nakagawa Takashi 中川敬 : Lead Vocal, Electric Guitar, Acoustic Guitar,Sanshin, Bouzouki
Okuno Shinya 奥野真哉 : Piano, Organ, Accordion, Synthesizer, Programming, Backing Vocal
Ito Koki 伊藤孝喜 : Drums, Percussion
Takagi Katsu 高木克 : Electric Guitar, Mandoline, Pedal Steel, Bouzouki, Electric Sitar, Banjo, Saz, Backing Vocal
Abe Koichiro 阿部光一郎 : Bass, Backing Vocal
Itami Hideko 伊丹英子 : Sanba, Hayashi


ASSOCIATE MUSICIANS

Jigen ジゲン (MOMONASHI) : Bass
Kogure Shinya 木暮晋也(HICKSVILLE) : Electric Guitar
Yamaguchi Hiroshi 山口洋 (HEATWAVE) : Electric Guitar
Akagi Rie 赤木りえ : Flute
Okuma Wataru 大熊ワタル(CICALA-MVTA) : Clarinet , Percussion
Ota Keisuke 太田恵資 : Fiddle
Asakura Shinji 朝倉真司 : Percussion
Yahiro Tomohiro ヤヒロトモヒロ : Percussion
Koo Keiketsu 黄啓傑 (BLUE MOON QUARTET) : Trumpet
Yassy ヤッシー(BLACK BOTTOM BRASS BAND) : Trombone
Iggy イギー(BLACK BOTTOM BRASS BAND) : Sax
Hanajima Eizaburo 花島英三郎 : Trombone
Takeshima Satoru 武嶋聡 : Sax
Utsumi Yoko うつみようこ: Backing Vocal
Kishida Shigeru 岸田繁 (QURULI) : Backing Vocal
Kamimura Mihoco 上村美保子 (MOMONASHI) : Backing Vocal
Chibana Tatsumi 知花竜海 (DUTY FREE SHOPP.) : Hayashi
Momo もも (Charan Po Rantan) : Backing Vocal
Koharu 小春 (Charan Po Rantan) : Backing Vocal

岸田繁 by the courtesy of Speedstar Records / Victor Entertainment
Charan Po Rantan appears by the courtesy of AMC

『アンダーグラウンド・レイルロード』ライナーナーツ

ついに、ついに! ソウル・フラワー・ユニオンの新作『アンダーグラウンド・レイルロード』が完成した。

サイレンの音に始まり、ソウル・フラワーの前身、ニューエスト・モデル時代のサイケデリックなロックンロールを彷彿させるようなビートが展開していく1曲め<グラウンド・ゼロ>で、いきなり血湧き肉躍る。20年間を凝縮した決定盤『ザ・ベスト・オブ・ソウル・フラワー・ユニオン 1993 - 2013』を出してひと区切りつけて、新たなフェーズに突入したことを示している。

オリジナル・フル・アルバムとしては、なんと『キャンプ・パンゲア』(10年12月)以来4年ぶり。その間に、東日本大震災(2011年3月11日)があった。それから反原発運動やヘイトスピーチに対するカウンターというムーヴメントが起こった。大きな悲しみや怒りが沸き起こる出来事が続いているが、同じ志を持つ人々の行動に勇気づけられることも多かった。ソウル・フラワー・ユニオンは不屈の時代と呼応するように、『キセキの渚』(11年12月)、『踊れ!踊らされる前に』(13年6月)とミニ・アルバムを出してきた。その過程を経て構築された新たなロックンロールの誕生である。

2曲めの<風狂番外地>は、すでにライヴでは何度も演奏している曲で、最近星になった先人たち、歌詞には出てこないが、登川誠仁、田端義夫、若松孝二、小沢昭一、山口富士夫、ルー・リード、中沢啓治ら、風狂の魂たちに捧げられていることが明らかにされている。

そして3曲め、<地下鉄道の少年>が素晴らしくグッとくる曲なのだ。
“地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)”とは、アメリカ南部の黒人奴隷が、北部やカナダ、一部はメキシコなどに逃れるために、支援者たちが作っていたネットワークのことである。19世紀初頭に形成されたが、最も盛んだったのは、リンカーンが奴隷解放宣言を行なった南北戦争が始まる直前の1850年から1860年にかけて。この10年の間に、実際に「駅員」とか「車掌」と呼ばれていた支援者たちによる草の根ネットワークの助けを借りて、3万人から10万人と推定される数の奴隷たちが南部から逃れた。昼間は「停車場」と呼ばれた支援者の家や施設に身を潜めて、夜、移動する。部分的に馬車が使われることもあったが、北斗七星を頼りに歩いて北上するすることが多かった。

アメリカでは「地下鉄道」の時代から100年あまりを経て起こった1960年代の公民権運動の後も、1992年のロサンゼルス暴動や、つい最近、2014年8月にもミズーリ州ファーガソンで警官が丸腰の黒人少年を射殺したことに端を発する抗議運動などが起こり、黒人の闘いは続いている。

その長い歴史は、ゴスペルやジャズからヒップホップまで、我々が親しんできた音楽に深く刻印されているだけでなく、近年の我々の歴史を顧みたとき、改めてリアルな物語として響いてくるのである。
<地下鉄道の少年>は、情緒的かつ普遍的に「少年は地下鉄道で夢掴む旅に出ました」というリリックが歌われている。しかしこの新曲には、我々の足下で起こっている闘いを歌った曲、唯一既存の曲を再録した<踊れ!踊らされる前に>と地続きの世界が描かれていることに気づくのだ。
具体的にはまず、レイシズムの問題がある。2009年12月の在特会による京都朝鮮学校襲撃事件が起こり、レイシストの動きが活発化してきた。12年12月に第2次安倍内閣が発足してからはさらに右傾化が進み、それと呼応するように、在特会らによるヘイトスピーチとヘイトデモが繰り返されるようになり、ネトウヨが勢いづいてきた。それに対するカウンターとして「レイシストをしばき隊」が活動を開始したのは13年2月のことだ。<踊れ!踊らされる前に>は、レイシズムへのカウンターと、福島の原発事故がなかったかのように原発の再稼働をもくろむ勢力へ対抗する思いなど、さまざまな対抗意識を描いた曲だった。

しかしその後、状況はさらに悪化した。安倍政権は、13年12月に秘密保護法を通し、14年7月には集団的自衛権の行使を認めた閣議決定を行なった。今は次期沖縄県知事選の前に既成事実を作ってしまおうと、辺野古でボーリング調査を強行している。
海外に目を向ければ、シリアでは11年に始まった内戦で、アサド政権による空爆などにより、14年8月の時点で19万人という途方もない数の死者が出ている。パレスチナでも、14年7月以後のイスラエルによる攻撃でガザ紛争 (08年から09年)を上回る2000人あまりが亡くなった。イラク北部とシリア北部は「イスラム国」が支配するようになり、ウクライナ東部では、政府軍と、ロシアの支援を受けているロシア系住民との戦闘が起こり、多くの人が死んでいる。

<地下鉄道の少年>は、中川敬によれば、1年以上前に書き始めたが、刻々と伝えられるこれらのニュースに接しながら「ホモサピエンスはいつまでこんなことをやってんのや」と思いつつ、「奴隷制度関連の本を読んだあとに、自分の胸の中のつかえから、世界中の子供たちが自由をめざしてひたすら歩いているようなイメージ」が沸いてきて、練られた曲とのことである。

続く4曲目、ロック・ステディ調の<残響の横丁>は、14年4月に鶴橋で行われる予定だったヘイトスピーチ・デモが直前に中止になったとき、中川敬も現場に行っていて「カウンターたちと飲み明かしてね。そのあと一気に書いた」という。サビのコーラスに、くるりの岸田繁が友情出演したり、曲の途中に、歴史修正主義者への怒りを表現したメスカリン・ドライヴの曲<ノスタルジア・シンドローム>(91年)のギター・リフが挟みこんであったりして泣かされる。

『アンダーグラウンド・レイルロード』の骨格には、アンチ・レイシズムとアンチ・ファシズムという意思がある。そのうえで、さまざまな音楽がミックスされたロックンロールが疾走しているのだ。

全14曲中、10曲が中川敬によって書かれた新曲で、<世界はお前を待っている>は中川敬のソロ『銀河のほとり、路上の花』(12年)に収録されていた曲のソウル・フラワー・ユニオンによる再演だ。
最近のソウル・フラワー・ユニオンは、ニューエスト時代から受け継ぐファンキーなロックに加えて、レゲエの影響が血肉化される度合いが高まって嬉しい限りだが、リー・ペリーのジ・アップセッターズ名義の『14 Dub Blackboard Jungle』(73年)に収録されている<アップセッティング・リズム>のカヴァーも収録。
そして残る1曲がエノケン(榎本健一)の1954年の曲<これが自由というものか>のカヴァーだ。作詞作曲は三木鶏郎。誰でも聴けば驚くと思うが、これが今現在の状況と酷似した世相を歌っている。この曲は歌詞をいじらない方がリアルなので3番までオリジナルに忠実に歌い、4番に中川敬の独自の詞を加えて歌っている。
出自を遡れば誰でもサルなのだからという点を突いて差別のアホらしさを表現していた<ルーシーの子どもたち>(09年)を、さらに遡った<バクテリア・ロック>をはじめ、他の曲は触れるスペースがなくなったが、全曲、音楽としても存在理由の点からも、傑作というほかない。

ジャケットの写真は、ガザの子どもたちを撮り続けている、ガザ生まれガザ育ちのカメラマン、アリ・ヌールディーンによる、ガザのテント暮らしの少女の写真(13年)だ。これは中川敬が3月の段階で決めて使用の許諾を得るための交渉を済ませていたとのことで、その時点では7月以後の空爆による惨劇は予測しようがなかった。図らずも、19世紀半ばのアメリカの黒人と、最近のパレスチナと、今現在進行中の日本の状況が地続きであることを示している。

最新作が最高傑作。ソウル・フラワー・ユニオンは、またしてもやってくれた。

(石田昌隆)