SOUL FLOWER UNION

踊れ!踊らされる前に

1. 踊れ!踊らされる前に
LET'S DANCE! DON'T LET THEM DANCE US!
2. 踊れ! 踊らされる前に 〜STAND AGAINST RACISM DUB MIX〜
LET'S DANCE! DON'T LET THEM DANCE US! <UCHIDA NAOYUKI'S DUB MIX>
3. アンパンマンのマーチ <feat. チャラン・ポ・ランタン>
ANPANMAN'S MARCH
4. また逢う日まで
MATA AU HI MADE (TILL THE DAY WE MEET AGAIN)
5. ゴーストーリー
GHOSTORY
6. 陽炎の国、鉛のうた
KAGEROU (STATE OF HEAT HAZE, SONG OF LEADEN)
7. たこあげてまんねん
TAKO AGETEMANNEN (I'M FLYING A KITE)
8. 辺野古節
HENOKO BUSHI
9. パンチドランカーの夢
THE PUNCH-DRUNKARD'S DREAM
10. アクア・ヴィテ
AQUA VITE
11. 踊れ! 踊らされる前に<Instrumental>
LET'S DANCE! DON'T LET THEM DANCE US!<Instrumental>
M-4〜10 : LIVE RECORDINGS

All songs written by Nakagawa Takashi)

Except M-3 lyrics written by Yanase Takashi, music written by Miki Takashi / M-4 lyrics written by Aku Yuu, music written by Tsutsumi Kyouhei /M-5 lyrics written by Nakagawa Takashi, music written by Nakagawa Takashi, Okuma Wataru / M-7 lyrics written by Nakagawa Takashi, music written by Nakagawa Takashi, Okuno Shinya
踊れ!踊らされる前に
LET'S DANCE! DON'T LET THEM DANCE US!
ソウル・フラワー・ユニオン
SOUL FLOWER UNION

 BM tunes/XBCD-1039/¥2,000(tax in)
 2013年6月26日 発売
 

新しい作法で、ハグしよう世界を!
2013年。『キセキの渚』に続く、11曲入りミニ・アルバム!

世界中の不屈の魂に捧げる魂花最新ダンス・チューン<踊れ!踊らされる前に>、日本ダブ界の重鎮・内田直之による反レイシズム・ダブ・ミックス、チャラン・ポ・ランタンとのコラボレーションによるアニメ主題歌カヴァー<アンパンマンのマーチ>、尾崎紀世彦の名曲カヴァー<また逢う日まで>、その他、スインギーなライヴ・レア・ナンバーを多数収録した、全11曲入りの闇鍋音楽万華鏡!

>> 「踊れ!踊らされる前に」特設ページ

Artist-Direct Shop 405にて「当店限定特典:特製オリジナル壁紙」付き。


Produced by Nakagawa Takashi

SOUL FLOWER UNION / 2013
Nakagawa Takashi 中川敬 : Lead Vocal, Electric Guitar, Sanshin 三線
Okuno Shinya 奥野真哉 : Piano, Organ, Synthesizer, Programming
Ito Koki 伊藤孝喜 : Drums
Jigen ジゲン : Bass, Backing Vocal
Takagi Katsu 高木克 : Electric Guitar, Bouzouki, Backing Vocal
Kamimura Mihoco 上村美保子 : Backing Vocal, Hayashi 囃し
Itami Hideko 伊丹英子 : Sanba 三板 (M-1,3), Hayashi 囃し (M-3)

踊れ!踊らされる前に

 ソウル・フラワー・ユニオンとなって20周年。おめでとう!

 というわけで新作ミニ・アルバムが届いたのだが、『踊れ!踊らされる前に』というタイトルを知った瞬間、きた!と思った。

 ソウル・フラワー・ユニオンのアルバムはだいたい、マージナルな領域で出会ったさまざまなエピソードが交錯する深い陰影のある作品になっているが、シングルやミニ・アルバムは、即時性のあるパンチラインが効いたメッセージをストレートに押し出した曲が核になっていたりする。

 で、1曲めがいきなりタイトル曲「踊れ!踊らされる前に」だ。具体的な事例には触れずに普遍的な言い回しを駆使した歌詞になっているが、ずばり、安倍政権になって右傾化が進み、福島の原発事故がなかったかのように原発の再稼働をもくろむ勢力が跋扈し、地域文化を壊滅させようとする力が働くTPPへの参加を決め、アベノミクスと称される実体経済が伴わないバブルで踊らされている現実に対して、抵抗しようとする気持ちを描いている。状況が刻々と変わっていくなか、この曲には今現在の現実がしっかり反映されているのだ。

 反原発デモに行けば、「THE NUCLEAR ERA IS OVER!」とか「GO FOR ZERO NUCLEAR PLANTS」と書いてあるソウル・フラワー・ユニオンのマフラータオルを掲げている人をよく見かけるし、何人ものソウル・フラワー・ユニオン系の友人にばったり出会う。ヘイトデモへのカウンター行動の列に参加しに行ったときもソウル・フラワー・ユニオン系の友人にばったり出会った。ソウル・フラワー・ユニオンは世間一般に幅広く知られているようなバンドではないが、このような現場に来る人には浸透率が高い。社会は過酷になっていく一方だが、同じような思いの人と接する機会はむしろ増えていて救われた気持ちになる。

 3.11を境に見慣れていた人や風景がそれまでとは違って見えるようになった。政財界の権力者から巷のレイシストまで醜悪な人間の姿が次々と顕わになってくる一方で、こちら側で闘っている人の中に昔からの知り合いを何人も発見できて勇気づけられたし、ツイッターで知り合って、ほとんど会ったこともないのに今では友人のように思えてしまう人も結構いるのだが、そのなかの何人かは明らかにソウル・フラワー・ユニオンの音楽にシンパシーを感じている人たちなのだ。絆という言葉は妙な使われ方をしたので使いたくないが、他者との繋がりの尊さを、最近はしみじみと感じることが多くなった。ソウル・フラワー・ユニオンの音楽は、そんな我々を繋ぐ不可欠なものとして存在感を増している。

 それにしても、あっという間に2年あまりの月日が経過した。ソウル・フラワー・ユニオンのフル・アルバムは『キャンプ・パンゲア』(2010)が最新で3.11以後は出ていない。3.11以後、中川敬はソロ・アコースティック・アルバムを2枚出したが、ソウル・フラワー・ユニオンとしては、ミニ・アルバム(と言っても10曲入りだが)『キセキの渚』(2011)を出しただけだった。本作はそれに続くミニ・アルバムとなり、待望の1枚なのだ。

 2曲めは「踊れ!踊らされる前に」のダブ「踊れ!踊らされる前に〜STAND AGAINST RACISM DUB MIX」である。『キセキの渚』での「ダンスは機会均等 〜内田直之の越境ダブ盆唄編」に引き続き、ダブ・ミックスは内田直之が行っている。ぼくは昔からレゲエを聴いていたので、本編より長尺なダブに繋がるこの流れは大好きだ。「踊れえ・え・え・え〜」となって最高。

 3曲めは「アンパンマンのマーチ」のカヴァー。ソウル・フラワー・みちのく旅団が2011年6月に東北訪問ツアーを行ったときからレパートリーに加わった。テレビ・アニメの「それいけ!アンパンマン」は1988年に始まった長寿番組で、多くの人に馴染みがある。そのオープニングテーマ曲である。「(被災地には)子どもが多いので、子どもが誰でも知っている曲を、1曲でもいいので演ってほしい」という現地の要請を受けて始めたとのことだが、じつは現地では、東日本大震災で被災した人の心に響く歌詞でもあったと話題になり、地元のラジオ局でよく流れていたのだという。中川敬のソロ『街道筋の着地しないブルース』(2011)に収録されていた「男はつらいよのテーマ」と同じく、あまりにも有名な曲でともすれば音楽ファンは軽視しがちだが、多くの人の思いを飲み込みながら土着化しているのだ。これはチャランポランタンの2人を迎えて新たにスタジオ録音したヴァージョンだ。土着化した過程に思いをはせながら何度も演奏してきた経験が蓄積されたうえで再構築したもので、もはやディープな味わいがある。

 4曲めからは最近のライヴ音源からの選曲となる。まずは尾崎紀世彦の「また逢う日まで」のカヴァー。これは1971年の大ヒット曲で、当時中2だったぼくはリアルタイムでシングル盤を買ったので感慨深い。この曲も、オリジナル曲の演奏は最小限にしてお年寄りなら誰でも知っている曲を演奏して楽しんでいただくという方針の、ソウル・フラワー・みちのく旅団ならではのレパートリーとして演り始めた(ということは、ぼくもお年寄り!)。

 この何気ないカヴァー2連発は、自己表現というより需要に会わせた職人芸だ。ところが、それでいてと言うべきか、それゆえにと言うべきか、ソウル・フラワー・ユニオンらしさが際立っている。音楽は、ミュージシャン個人の内面から出てきたものより、ミュージシャンを媒介して、ひとかたならない現実の断辺が噴き出してくるところを捉えたもののほうがズシンと伝わってくる。これらはよく知られた曲のカヴァーであるがゆえに、東北の人々の気持ちまで現われているように聴こえる。

 この後はソウル・フラワー・ユニオン(1曲はソウルシャリスト・エスケイプ)の曲のライヴ・ヴァージョンが続く。音圧のある録音で気持ち良い。レアなところをすくい上げる選曲で、個人的には『ワタツミ・ヤマツミ』(1994)からの2曲が馴染み薄だったのだが、じつは良い曲だったなと再発見できたのが収穫だ。「アクア・ヴィテ」が入っていたのは原発推進派が上関原発の建設を未だに諦めていないことに対する牽制だと思えたし、「辺野古節」が入っていたことに、安倍政権が辺野古の海を滑走路に変えようとする圧力を強めているなか、なんとしても阻止しなくてはならないという意思を感じることもできた。そしてラスト「踊れ!踊らされる前に」のインスト・ヴァージョンで締めくくられる。

 ミニ・アルバムとはいえ全11曲、53分のヴォリュームである。状況は刻々と推移している。これが今現在の我々の音楽なのだと思った。

(石田昌隆)