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| 1. | サヴァイヴァーズ・バンケット Survivor's Banquet |
| 2. | 殺人狂ルーレット Satsujinkyo Rourette (Mad Murderer Rourette) |
| 3. | 荒れ地にて Arechi nite (At the Wasteland) |
| 4. | ダイナマイトのアドバルーン Dynamite Advertising Balloon |
| 5. | 夏到来 Natsu Torai (Here Comes Summer) |
| 6. | 野づらは星あかり Nozura wa Hoshiakari (Starlit Field) |
| 7. | 世紀のセレナーデ Seiki no Serenade (Century Serenade) |
| 8. | オーマガトキ Omagatoki |
| 9. | GO-GOフーテン・ガール Go-Go Futen Girl |
| 10. | NOと言える男 No to ieru Otoko (The Man Who Can Say No) |
| 11. | キャラバンに恋唄 Caravan ni Koiuta (Caravan Love Song) |

これまでの変化の仕方とは違う。一般的に前作のようなライヴ盤のリリースは、バンドにとってひとつの集大成となる場合が多いが、本作は彼ら自身にとっても新しいサイクルの始まりというに相応しい内容となっている。
ではどこがどのように新しいのか。彼らの歩みを振り返りつつ確認してみよう。まず古くは80年代後半、ニューエスト・モデル、メスカリン・ドライヴと名乗っていた時期から、彼らはロックの語彙の中にファンクからアイリッシュ・トラッドまで、様々な要素を取り入れてきた。93年にソウル・フラワー・ユニオンとなって以降は、アイヌ、ウチナー(沖縄)、在日コリアンとの出会いなどを経て、そうした音作りをいわゆるミクスチャーといった次元から、自分達の足元に根ざした形へと深化させてきた。その歩みは実に徹底的だ。
特に95年に阪神・淡路大震災の被災地での演奏活動のために立ちあげたアコースティック・ユニット、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットで行った民謡〜流行り唄〜労働歌などへの取り組みとチンドンのグルーヴの発掘は記憶に新しい。そしてそれを経た後に、今でも彼らと深い親交を持っているアイルランドの大物プロデューサー、ドーナル・ラニーを中川敬との共同プロデューサーとして迎えたのが99年の『ウインズ・フェアグラウンド』であった。
もちろんこうした振り幅の大きさは、そのまま彼らの音楽性の豊かさ、貪欲さを示している。ただし彼らの音楽に断片的にしか接していない人には、その折々のアプローチが徹底しているがゆえに、トラッド・ミュージックや沖縄音楽ばかりを探求しているアーティストとしてのイメージばかりが増幅して伝わった部分があるかも知れない。しかし改めていうまでもなく、ソウル・フラワー・ユニオンはロックンロール・バンドだ。彼らの足どりをトータルに見れば、あくまでも寛容な包容力、あるいは豊饒な生命力を持つ音楽として自分達のロックンロールを鍛え上げていくという意味で一貫していることに気が付くだろう。
そして今回のアルバムは、そうしたプロセスを経て蓄えてきた豊饒な音楽性を、ロックンロールとして統合した作品なのだ。例えば「サヴァイヴァーズ・バンケット」の終わりでさりげなく弾かれる三線。名曲「満月の夕」の叙情性を受け継ぐかのようなバラード「荒れ地にて」「夏到来」。97年の『宇宙フーテン・スイング』に通じるジャズ・フィーリングが味わえる「ダイナマイトのアドバルーン」。さらにホーン・セクションをフィーチャーしてラテン的なアプローチを行った「オーマガトキ」など…。曲調は実に多彩だが、そのひとつひとつが総体となって彼らのロックンロールを織りなしている。表面的な見え方としてはニューエスト・モデルに近いかも知れない。ただし以前と明らかに違うのは、そのひとつひとつの要素が徹底的な取り組みを経て、彼らの血肉へと消化されている点だ。
それに加えて本作で特筆すべきは中川敬の歌詞とヴォーカル。歌詞においては<熱情>につき動かされ、<悲しみを携えて暴露して走る>中川の心情をぶちまけている。彼のヴォーカルは優しさに満ちているが、それは決して余裕を持って弱者をいたわる強者の優しさではない。自分の弱さを引き受け、<苦悩は連続する>と覚悟を決めた上で、走り回らざるを得ない過剰さを持ち合わせてしまった者の業から生まれる優しさなのだ。
これまでの作品ではそうした彼の過剰さはどちらかというとサウンドで吐露されることが多かったが、本作では楽曲、歌詞、ヴォーカル、演奏の隅々にまで反映されている。本作は過剰なものや悲しみを抱えた人達を、総力戦で鼓舞するロックンロールだ。ソウル・フラワー・ユニオンは、今確実に新たな領域へと突入した。
(志田歩)