SOUL FLOWER UNION

スクリューボール・コメディ

1. サヴァイヴァーズ・バンケット
Survivor's Banquet
2. 殺人狂ルーレット
Satsujinkyo Rourette
(Mad Murderer Rourette)
3. 荒れ地にて
Arechi nite
(At the Wasteland)
4. ダイナマイトのアドバルーン
Dynamite Advertising Balloon
5. 夏到来
Natsu Torai
(Here Comes Summer)
6. 野づらは星あかり
Nozura wa Hoshiakari
(Starlit Field)
7. 世紀のセレナーデ
Seiki no Serenade
(Century Serenade)
8. オーマガトキ
Omagatoki
9. GO-GOフーテン・ガール
Go-Go Futen Girl
10. NOと言える男
No to ieru Otoko
(The Man Who Can Say No)
11. キャラバンに恋唄
Caravan ni Koiuta
(Caravan Love Song)
最高傑作!
生き残った者達の宴のために。
朝焼けに乾杯を!
旅立ちに祝福を!
(中川 敬)
魂の歌をうたう 魂の番長に乾杯!
(石野卓球/電気グルーヴ)
サヴァイヴァーズ・バンケット、夏到来、NOと言える男!!
こんな曲待ってました。
別に僕がここまで吠えなくても大傑作でしょうが、最高のR&R!SFUは、大傑作しか出しませんよ。
(岸田 繁/くるり)
おぉ!ロックってのはこれだ!いちいちカラダに鳥肌がたつ種類の感動だ。
それはぼくがこのところ忘れていた感覚だ。
聴いた後に生活の風景が違って見えるマジック。
あぁ、とてつもなく濃厚な意志とイメージの爆撃が今夜も始まってしまった。
(曽我部恵一)
夏の匂いがする
炎天下に揺れる夏草にドッと倒れ込んだ時の匂い(午後1時25分)
昼なお薄暗い森の中のクヌギの樹液の匂い(午後2時45分)
あるいは白っぽい街の雑踏のなかに一瞬
シンと立ち上る陽炎のゆらめき(午後3時5分)
ワクワクするような夏の朝にキッパリとみずみずしい棘のある朝顔 そんなアルバムだ
(真島昌利/ザ・ハイロウズ)
背中にリュックをしょって方方をバックパッキングしていると、なぜかひょんな所で出喰わす顔見知りがいる。
言葉をかわさずとも、お互いのよごれたシャツや適度に焼けた顔を見ては何だかうれしくなる---。
僕にとってソウル・フラワーはそんな存在である。なぜ旅の途中でばったり会うのか?
もしかすると僕らは同じものをさがし求めているのかもしれない。
(宮沢和史/THE BOOM)
スクリューボール・コメディ
Screwball Comedy
ソウル・フラワー・ユニオン
SOUL FLOWER UNION

 [CD]
  RESPECT RECORD/RES-52/¥3,150(tax in)
  2001年7月25日 発売
 [LP]
  RESPECT RECORD/RES-57/¥3,150(tax in)
  2001年12月5日 発売
  セミダブル・ジャケットサイズ、初回完全限定盤

 2001.8.6付 オリコンチャート初登場42位
2年6ヶ月振り、待望の5thオリジナル・アルバム!
スイングするスピリチュアル、爆走する電化トラッド。
新世紀的最新型ロックンロール!

Produced by Nakagawa Takashi

SOUL FLOWER UNION
中川敬 Nakagawa Takashi : Lead Vocal, Guitar, Sanshin 三線, Percussion, Backing Vocal
伊丹英子 Itami Hideko: Bouzouki, Guitar, Percussion, Backing Vocal
奥野真哉 Okuno Shinya : Piano, Organ, Accordion, Synthesizer
河村博司 Kawamura Hiroshi : Bass, Mandolin (M-3), Backing Vocal, Programming
レイ・フィン Ray Fean : Drums, Percussion

GUEST MUSICIANS
太田恵資 Ota Keisuke : Fiddle (M-2, 3, 8)
木村誠 Kimura Makoto : Percussion (M-4, 5, 6, 7, 8)
ブラック・ボトム・ブラス・バンド Black Bottom Brass Band : Horns (M-4, 7, 8)
(Koo : Trumpet, Horns arrange (M-8), Yassy : Trombone, Iggy : Tenor Sax, Monky : Alto sax, Baritone Sax)
ジョン・マシューズ John Matthews : Uileann Pipes (M-5), Whistle (M-2)
神田有為 Kanda Ui : Backing Vocal (M-1, 3, 7, 8, 10)
比嘉大祐 Higa Daisuke : Backing Vocal (M-7)
平野一郎 Hirano Ichiro : Backing Vocal (M-7)

 ソウル・フラワー・ユニオンの新作『スクリューボール・コメディ』は、スタジオ・レコーディングのフル・アルバムとしては、99年の『ウインズ・フェアグラウンド』以来、2年半ぶりとなる新作。この間にライヴ・アルバム『ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ』、ミニ・アルバム『アンチェイン』のリリースはあったものの、彼らとしてはかなり長いインターヴァルだったといって良いだろう。しかしそれだけの時間待った甲斐はあった。絶えず飛躍的な変化成長を繰り返してきたソウル・フラワー・ユニオンは、本作で見事に新しい境地へと突入した。

 これまでの変化の仕方とは違う。一般的に前作のようなライヴ盤のリリースは、バンドにとってひとつの集大成となる場合が多いが、本作は彼ら自身にとっても新しいサイクルの始まりというに相応しい内容となっている。

 ではどこがどのように新しいのか。彼らの歩みを振り返りつつ確認してみよう。まず古くは80年代後半、ニューエスト・モデル、メスカリン・ドライヴと名乗っていた時期から、彼らはロックの語彙の中にファンクからアイリッシュ・トラッドまで、様々な要素を取り入れてきた。93年にソウル・フラワー・ユニオンとなって以降は、アイヌ、ウチナー(沖縄)、在日コリアンとの出会いなどを経て、そうした音作りをいわゆるミクスチャーといった次元から、自分達の足元に根ざした形へと深化させてきた。その歩みは実に徹底的だ。

 特に95年に阪神・淡路大震災の被災地での演奏活動のために立ちあげたアコースティック・ユニット、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットで行った民謡〜流行り唄〜労働歌などへの取り組みとチンドンのグルーヴの発掘は記憶に新しい。そしてそれを経た後に、今でも彼らと深い親交を持っているアイルランドの大物プロデューサー、ドーナル・ラニーを中川敬との共同プロデューサーとして迎えたのが99年の『ウインズ・フェアグラウンド』であった。

 もちろんこうした振り幅の大きさは、そのまま彼らの音楽性の豊かさ、貪欲さを示している。ただし彼らの音楽に断片的にしか接していない人には、その折々のアプローチが徹底しているがゆえに、トラッド・ミュージックや沖縄音楽ばかりを探求しているアーティストとしてのイメージばかりが増幅して伝わった部分があるかも知れない。しかし改めていうまでもなく、ソウル・フラワー・ユニオンはロックンロール・バンドだ。彼らの足どりをトータルに見れば、あくまでも寛容な包容力、あるいは豊饒な生命力を持つ音楽として自分達のロックンロールを鍛え上げていくという意味で一貫していることに気が付くだろう。

 そして今回のアルバムは、そうしたプロセスを経て蓄えてきた豊饒な音楽性を、ロックンロールとして統合した作品なのだ。例えば「サヴァイヴァーズ・バンケット」の終わりでさりげなく弾かれる三線。名曲「満月の夕」の叙情性を受け継ぐかのようなバラード「荒れ地にて」「夏到来」。97年の『宇宙フーテン・スイング』に通じるジャズ・フィーリングが味わえる「ダイナマイトのアドバルーン」。さらにホーン・セクションをフィーチャーしてラテン的なアプローチを行った「オーマガトキ」など…。曲調は実に多彩だが、そのひとつひとつが総体となって彼らのロックンロールを織りなしている。表面的な見え方としてはニューエスト・モデルに近いかも知れない。ただし以前と明らかに違うのは、そのひとつひとつの要素が徹底的な取り組みを経て、彼らの血肉へと消化されている点だ。

 それに加えて本作で特筆すべきは中川敬の歌詞とヴォーカル。歌詞においては<熱情>につき動かされ、<悲しみを携えて暴露して走る>中川の心情をぶちまけている。彼のヴォーカルは優しさに満ちているが、それは決して余裕を持って弱者をいたわる強者の優しさではない。自分の弱さを引き受け、<苦悩は連続する>と覚悟を決めた上で、走り回らざるを得ない過剰さを持ち合わせてしまった者の業から生まれる優しさなのだ。

 これまでの作品ではそうした彼の過剰さはどちらかというとサウンドで吐露されることが多かったが、本作では楽曲、歌詞、ヴォーカル、演奏の隅々にまで反映されている。本作は過剰なものや悲しみを抱えた人達を、総力戦で鼓舞するロックンロールだ。ソウル・フラワー・ユニオンは、今確実に新たな領域へと突入した。

(志田歩)