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歌は何のために〜ジョリモーム路上コンサート
  (2005年 日本=フランス)
  監督: ビデオプレス
  原題: JOLIEMOME
  主要舞台: フランス
    ビデオプレス

  「もっといい世界を願うことは、悲しいことでもつまらないことでもない。共産主義なのかアナーキストなのか、ちょっと自分達でも定義しにくいが、そういうものの根っこを分かって欲しい」(カンパニー・ジョリモームのアコーディオン奏者)
  分かる。良く分かる。我々もソウル・フラワー・モノノケ・サミットなる楽団で革命歌や労働歌を演奏することのその立ち位置・姿勢を、完全に定義する言葉など持ち得ないからだ。しかし、歌い継がれるべき強い唄というのは確実にある。民とともにあり続ける唄。土から立ち上る、決してどんなに強い圧力をもってしても消し去ることの出来ない憤怒の詩である。我々はそれを演ってきたし、またこれからもひたすら演るだろう。そんな大事な曲が我々モノノケ・サミットのレパートリーには少なからずある。

  2004年6月6日、土曜日の昼、パリ五区のムフタール通りで音楽パフォーマンスを披露するのは、ブレヒト作品やパリ・コミューンを題材にした戯曲など、一貫して抵抗や連帯をテーマにした芝居・音楽を演じる「カンパニー・ジョリモーム」。ここで取り上げる映像作品は、映画『人らしく生きよう〜国労冬物語』の上映の為に渡仏していたビデオプレス(homepage3.nifty.com/videopress/index.html)のスタッフが、パリの劇団「カンパニー・ジョリモーム」の大道芸を撮影してきたものだ。

  労働者、移民、失業者、路上生活者などなど、仲間達が抗議活動を起こす際、デモやストライキ、集会の際、その盛り上げ役として彼らジョリモームは登場する。本作の中でも見られるジョリモームの赤旗は今やデモの名物らしく、彼らは党派にこだわらず、さまざまな闘いと連帯している。
  本作『歌は何のために〜ジョリモーム路上コンサート』は、完全に演奏シーンのみを編集した短篇音楽ドキュメンタリー作品なのだが、ありがたいことに日本語の歌詞対訳がテロップで流れる為、この二十分間に凝縮してある豊穣なメッセージは観る者の心を強く揺さぶる。収録曲は、<インターナショナル>や<ワルシャワ労働歌>などの革命歌の替え唄、マクドナルドを糾弾する<マクドのマック・ストライキ>や「9・11」が浮上させた世界を歌い込む<すべてがうまくいっていたのに!>などのオリジナル曲だ(歌詞はこちら。homepage3.nifty.com/videopress/jorikasi.html)。音響設備なしの路上パフォーマンスは、アコーディオン、ガット・ギター、ウッド・ベースに、全員の生き生きとした唄と踊りのみ。電気による増幅なしで充分に迫力ある演奏を披露してくれる。
  足止めを食らう道ゆく人々、最前列でリズムを取る子供達、笑いを隠さない老人達などなど、聴衆のさりげない有り様、底抜けの笑顔、あたたかい拍手は、我々ソウル・フラワー・モノノケ・サミットがパリの公園などで連日演奏した時の雰囲気そのままである。ちょうどモノノケ・サミットのフランス・ツアーが大統領選と重なっていた為(2002年5月〜7月。移民排除を訴える、ナショナリストのルペンが最終決戦まで残っていた)、<インターナショナル>を演奏すると、フランス中、どこでも大盛り上がりだったのだ。特に、出番が深夜二時頃だったブリュターニュのフェスの、「ラララ」の大合唱(まさに大きな合唱だった)は忘れられない。<インターナショナル>の歌詞が御法度であった戦前戦中の日本で、人々がこっそりと「ラララ」でこの旋律を歌っていた(<ラララ行進曲>)、という話を知り、海外でこの曲を演る際、三番をわざと「ラララ」にしてみたりするのだ(演奏後、多くの人々に「ありがとう!」と言われた。時節柄、フランス公演の為にわざわざ<インターナショナル>をレパートリーに組み入れて演っていると思われた訳だ)。
  本作中、<名前を明かさず>という曲の中で、ジョリモームの女性の歌い手が、不屈の「名もなき彼女(=永久革命)」を讃え、固有名詞を連呼する圧倒的なシーンがある。何よりも強く印象に残ったシーンだ。以下に歌詞をそのまま引こう。
  「戦艦ポチョムキンの水兵達の為に。弾圧された評議会の平和主義者。クラオン(塹壕戦)の謀反兵。サッコとバンゼッティ。ローザ・ルクセンブルグとK・リープクネヒト。1936年のスト参加者。オビエドの炭坑夫。スペイン内戦の義勇兵。アナーキストの勇気を讃えて。レジスタンスの兵士。マヌシアンと二十二人の仲間達。レジスタンスの外国人闘士。シャロンヌ駅で踏み倒されたデモ隊。1961年10月17日、セーヌ川に投げ込まれたアルジェリア人。ビクトル・ハラ。1968年の900万人のスト参加者。チェ・ゲバラとその仲間。リバプールの港湾労働者。ソウルの労働者。米国の経済政策に苦しむキューバ人民の為に。チュニジア人民。モロッコ人民。クルド人。トルコの囚人。アルジェリア人民とカビールの仲間たちの為に。アフガン人民。アルゼンチン人民。旧ユーゴ人民。チェチェン人民。南北のコリア人民。ルワンダとスーダン人民。シエラ・レオネ人民。サラウィの民。ブラジルの土地なし農民。ジンバブエの農民。チアパスのインディオ。ムミア・アブ・ジャマル。レオナール・ペルチエ。合州国の牢獄で処刑された無実の囚人の為に。ナタリー・メニゴと仲間の政治犯。サン・パピエ。路上生活者。失業者の闘いの為に。ロマの人々。セザレ・バッティスティ。コート・ジボワール人民。コンゴ、そしてハイチの人民。イラク人民。パレスチナ人民。そしてイスラエルの平和主義者。……その数はまだ余りにも足りないけれども!」

  なお、本作のDVDは通販で購入出来る。痛快なパフォーマンスを存分に楽しんで欲しい(homepage3.nifty.com/videopress/050314jori.html)。