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映画日本国憲法
  (2005年 日本)
  監督: ジャン・ユンカーマン
  英題: THE CONSTITUTION OF JAPAN
  主要舞台: 日本
    発売元:株式会社シグロ
販売元:株式会社シグロ
DVD:¥2,800
品番:SG001HD
オフィシャルサイト www.cine.co.jp/kenpo/index.html
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ソウル・フラワー・ライブラリ>コンピレーション>映画日本国憲法

  改憲派の思惑通り、今や風前の灯火の憲法九条(『軍隊をすてた国』の項参照)。マスコミ挙げての改憲論議なるものが、ほとんどガキの屁理屈に近いようなレベルで進行しているが、まずもって、憲法というものが、決して市民への縛りではなく、国の暴走を抑止する為の縛りであることを再確認したい。昨今の改憲論議は間違いなくそうした主客転倒の勘違い(または積極的無視)の上に築かれているし、平和憲法をぞんざいに扱う憲法違反者たちによってこの改憲論がある、という当り前のことを思い出さなくてはならない。
  自衛隊の存在があろうがなかろうが、憲法九条は、未来を指し示すものとしての戦争放棄の誓いである。しかも、侵略国日本としての何よりもの「謝罪」「反省」は、交戦権を放棄した憲法九条の存在にこそあったといえるだろう。日米安保があろうとも、半世紀以上の間、戦火を交えずに平和を守り続けたことのその価値は大きい。そして、そこにこそ国際社会の日本への評価はあったのだ。
  日本が今後、軍縮や人道支援に於いて国際貢献してゆく上で、憲法九条の理念を保持したままやれることは数限りなくあるのである。

  戦後60年が経ち、改憲論議に加えて憲法違反のイラク派兵がまかり通る当節、ドキュメンタリー作家のジャン・ユンカーマン(『チョムスキー9・11』)が手掛けた重要なインタヴュー映画が本作『映画日本国憲法』だ。今回、本作の音楽(挿入曲)をソウル・フラワーが担当することになったので、ラフ編集の段階から何度も観ることが出来たのだが、ここにある識者の発言はそのどれもが含蓄に富んでいて、改憲派の非論理性がますます浮き彫りになるという仕掛けだ。印象に残った発言を以下に引こう。
  「日本には、非軍事的なアジア、および非軍事的な問題解決のモデルになれるという理想がありました。しかし、日本政府はそれを実現する大物政治家を輩出できませんでした。明確な考えを述べる政治家も登場しませんでした。アメリカからの分離を可能たらしめる手段を講じることもありませんでした。アメリカと決別するのは無理だったかもしれません。しかし“我々は主権をもつ独立国家である”と主張すべきでした」(ジョン・W・ダワー/歴史家)
  「押しつけ憲法だからいけないとは言えません。いい憲法はすべて、政府に対して押しつけられる形で制定されたんですよ。(中略)日本国憲法を政府に押しつけたのは、数か月の間だけ続いた、占領軍と日本国民による一種の短期同盟でした。同一の目的をもつ彼らが、政府の権力を制限する憲法を日本政府にのませたんです。だから、その頃から現在に至るまで、政府の人々の立場からすると、押しつけられた、彼らの権限を制限している、と感じるんでしょう。実際、制限しているんですからね。でも、日本や日本国民に押しつけられたのではありません。また、これだけ長続きしているのは、日本の人々が政府に押しつけ続けてきたからです」(C・ダグラス・ラミス/作家・政治学者)
  「第九条を積極的に、民衆レベルで、世界の人々に対して発信すべきだと思うんですね。(中略)憲法“改正”問題をね、国内問題にしちゃあだめですよ。国際問題ですからね。特にアジアの問題です」(日高六郎/社会学者)
  「平和というものはね、時代のように流れてくるんじゃないんですよ。平和はしっかり守って、次の時代に受け継ぐのが、現世の生きている人間の務め」(辺野古で座り込みの男性)
  「(小泉は)非合法で無意味な選択をしてしまいました。イラク派兵を決断することで、イスラム社会の怒りを、長期にわたる怒りを買ってしまったのです。他に例をみないほどバカげた選択でした」(チャルマーズ・ジョンソン/政治学者)
  「アジアの人々は、日本は過去と断絶していないのではないかと不安を抱きながらも、その不安を押さえることができたのは日本に平和憲法があったからです。(中略)日本国憲法の崩壊は、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの軍備増強を招くでしょう」(韓洪九/聖公会大学教授)
  「憲法については何よりもまず、日本の近隣諸国に問うべきでしょう」(ジョゼーフ・サマーハ/ジャーナリスト)
  「もし日本がアメリカの体制に加わるなら、これは二十世紀への逆戻りどころか野蛮時代への逆戻りでしょう」(ノーム・チョムスキー/言語学者)
  「第九条を守ることは日本人の責任だけではなく、私たち、現代に生きる人類の責任であると思います」(班忠義/作家・映画監督)
  「今度また戦争があれば、それはもう、みんな誰も勝つことはできないと思います。勝った人と負けた人が同じように潰れるでしょう。だから平和が一番、今世界で一番大きい重要な問題ですから、日本がそういう指導者になれば、素晴らしいことになると思います」(ベアテ・シロタ・ゴードン/GHQ民政局スタッフ・日本国憲法草案者)

  「一人でも沢山の人に観せなあかんなぁ」とは伊丹英子の弁だが、インタヴュー映画である以上、これはもう観てもらうしかない。本作の公式ホームページ(www.cine.co.jp/kenpo/index.html)に、DVD&VHSの通販注文フォームと上映スケジュールがあるので、是非とも覗いてみて欲しい。
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