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田舎の日曜日
  (1984年 フランス)
  監督: ベルトラン・タヴェルニエ
  原題: UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE
  主要舞台: フランス
    『田舎の日曜日』
価格: 3990円(税込)
発売元: 東北新社
販売元: 東北新社
品番: TBD-1079

  近年、『今日から始まる』『レセ・パセ』などで、その見事な演出力が再評価されている名匠ベルトラン・タヴェルニエの出世作。『レセ・パセ』の劇中で取り上げた「フランス映画戦中派」の一人、脚本家ピエール・ボストの遺作『ラドミラル氏はもうすぐ死んでしまう』の映画化である。
  題材は至ってシンプル。七十歳を越えた老画家ラドミラル氏をめぐる、ある日曜日の終日を綴った物語だ。よって『田舎の日曜日』は、ストーリーを追うというよりも、孤独な老画家の寂寥感や、登場人物(ラドミラル一家)の心の動きに想いに馳せる、「印象派映画」とでも呼べる作品である。

  舞台は1912年秋のとある日曜日、自然に囲まれたパリ郊外の田舎。孤独な老画家ラドミラル氏(ルイ・デュクルー)のもとへ、パリに住む息子のゴンザグ(ミシェル・オーモン)一家が休暇でやって来る。ラドミラルは、長年面倒をみてくれている家政婦メルセデス(モニーク・ショメット)との二人暮しである。
  保守的で小心者のゴンザクと妻のやりとり。はしゃぐ三人の孫達。老画家の幻影や独白を伴いながら物語は淡々と続く。
  食事。差し込む陽光。深い緑と広い庭に囲まれた邸。そこへ、滅多なことでは訪ねてこない愛娘イレーヌ(サビーヌ・アゼマ)がやって来る。パリでファッション・ブティックを経営する奔放な彼女は、最新型四輪自動車ドラージュを駆使しての登場だ。賑やかな彼女の登場により、一気に華やぐ一家の団欒。しかし、ラドミラルはイレーヌに会うと早くも別れの場面を心に描き、「わしの胸は悲しみでいっぱいだ」と思うのだ。
  ミュゼット。父娘のダンス。老人に去来する過去。
  ラドミラルは娘を自分のアトリエに招く。以前は風景画を描いていたが、最近は外に出ずアトリエ内の様子ばかり描くようになり、イレーヌは老いた父の絵に対する苦悩を見るのであった。
  秘かに恋に悩むイレーヌは、パリからの一本の電話に取り乱し、淋しそうに見送るラドミラルを背に、車をパリへと走らせる。
  ゴンザグ一家を駅まで見送り、邸に戻ったラドミラルは一人アトリエに入り、白地のキャンバスに向かう。
  過去と未来。幻影。果たして老画家が思いを馳せる新たなイメージ、未来とは?

  深い白黒の濃淡。押さえられた原色。最大の武器は陽光だ。ズームのみの静かなワン・ショットは、老画家とタヴェルニエの、「印象派絵画」の合作でもある。
  七十歳を越えても問われ続ける人生の意味。黄昏と余韻。孤独なアトリエ。老い。
  溜息を楽しめ。人生は続く。