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冒険者たち
  (1967年 フランス)
  監督: ロベール・アンリコ
  原題: LES AVENTURIERS
  主要舞台: フランス
    発売元:東芝エンタテインメント
販売元:
アミューズソフトエンタテインメント
DVD:¥3,129
品番:ASBY-2290
発売日: 2004/9/10

  ここ日本でも大ヒットしたリュック・ベンソンの『グラン・ブルー』(1988年)は、明らかな『冒険者たち』への目配せを感じさせる、海を舞台にした青春映画だが、圧倒的な映像美はさておき、ステロタイプなジェンダーが時に邪魔をして、残念ながら『冒険者たち』程の甘酸っぱい余韻は望めない。『グラン・ブルー』の、娯楽映画としての完成度の高さはさすがだが、俺はこの『冒険者たち』の方に軍配を上げるのだ。
  本作『冒険者たち』は、暗黒街出身の冒険小説作家ジョゼ・ジョヴァンニの原作をロベール・アンリコが指揮した、忘れがたいフランソワ・ド・ルーベの旋律で綴った青春映画の名作である。
  飛行クラブの教師でパイロットのマヌー(アラン・ドロン)、元レーサーでエンジニアのローラン(リノ・ヴァンチュラ)、前衛芸術家の卵レティシア(ジョアンナ・シムカス)の、奇妙な友情で結ばれた聖三角関係、そして彼らの「夢」こそが本作の重要なテーマである。

  作品制作の為に自動車スクラップ工場を訪れた女性レティシアは、そこで奇抜な夢を追う二人の男と出会う。マヌーは一獲千金、パリ凱旋門を飛行機でくぐる夢に。ローランは世界最速の自動車エンジンを作るという夢に。各々がその青春を賭けていたのだ。前衛芸術家を目指すレティシアと二人の男は、「夢」という共通項で結ばれ、名状しがたい友情が芽生えてゆくのであった。

  各々の夢に挫折した三人が次に目を付けたのは、アフリカのコンゴ海に眠る財宝。ベルギーのコンゴ移住者が動乱から逃れる際、莫大な財宝を乗せたまま海に墜落したのだ。
  コンゴの海をゆくオンボロ船の旅は、都市生活に疲れた三人の心を癒してゆく。美しい海、解放された生活。そして、財宝の墜落位置を元パイロットに教えられ、遂に三人は財宝を手に入れる。
  しかし、彼らの「夢」は悲劇と共に終焉を迎えるのだ。財宝を狙ったギャングとの銃撃戦でレティシアは殺され、マヌーとローランはレティシアを水葬に。
  レティシアの故郷アイクス島から望む、海上の古い要塞。そこで暮らすという彼女の夢はローランによって引き継がれる。マヌーに海上ホテル建設の夢を語るローラン。しかし、ギャング達の執念は、銃撃戦によりマヌーの命を奪うのであった。
  鳥瞰される要塞。海と空の深遠な青。三人の「夢」、友情、青春への惜別である。

  のちのアメリカン・ニューシネマにも多大な影響を与えた本作は、ドロン、ヴァンチュラ、シムカスの微妙な役作りのバランスに負うところが大きい。特に、他作で常に悪徳の匂いを醸すドロンとヴァンチュラが、本作では魅力溢れる爽やかな夢追い人として描かれることにより、逆説的に、終始観る者にえも言われぬ緊張感を与えるのである。
  「大切なのはうまく演じることではない。カメラが君に夢中になるといったことが必要なのだ」と、映画監督のキャロル・リードは新人女優に言ったそうだが、本作の主演の三人にこそ、この言説はズバリ当てはまる。要は、三人が「魅力的」なのだ。
  ラスト・シーンの、ヴァンチェラがドロンの最期を看取るシークェンス、「レティシアはお前が好きだったんだ」と嘘をつくシーンは、青春映画史上屈指の名場面だ。
  そして俺は、初めて本作を観た時、ジョアンナ・シムカスに恋したのであった。
  60年代青春冒険譚の決定版。