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1989年秋、雪崩を打ったように始まるいわゆる「東欧民主化革命」で、チェコスロヴァキアはいち早く「ビロード革命」と呼ばれる無血革命を達成し、1967年の「プラハの春」を指導したドプチェクが議長を務める新連邦議会が、反体制知識人バーツラフ・ハベルを大統領に選出したのであった。 本作『コーリャ・愛のプラハ』は、まさに共産主義体制崩壊寸前のチェコの激動期に生きた、冴えない中年音楽家と一人の男の子との、心温まる出会いと別れの物語だ。監督ヤン・スビエラークの実父であるズディニェク・スビエラークが、主役のロウカ役、脚本を担当している。 舞台は1988年、首都プラハ。フランティ・ロウカ(ズディニェク・スビエラーク)は、五十五歳独身のチェリストで、かつてはチェコ・フィルの首席奏者まで務めた名手であったが、女性問題で転落、今はその日暮らしのぐうたら生活である。葬儀専門の楽士や古くなった墓碑銘の修復などで食い繋ぐ毎日だ。 激動する政治状況の下、一つの出会いと別れを、実に瑞々しく爽やかに活写した感動の一篇。これぞ映画という感銘。観る者は、コーリャとロウカの人間味溢れる魅力に屈服せざるを得ないだろう。そして、さっぱりとスマートな小気味良いユーモアの連射、淡々とした描写から立ち上る静かな感動は、監督ヤン・スビエラークの並外れた演出力を思わせる。 弾圧される側から一躍大統領になることになった男、ハベルの言葉で締めよう。「人間は何ゆえに政治権力を願望するのでしょうか。そして、何ゆえにこの権力を一旦手に入れると手放したがらないのでしょうか? 我々は心ならずも、自分達が排撃していた前任者達に、しばしば深刻なまでに似通い始めているのです。私は“特典”“例外”“コネ”の世界にいるのです。市街電車の乗車券やバターが幾らするのか、コーヒーの入れ方、自動車の運転や電話のかけ方さえ、もはや知らないことになり始めている、名士の世界にいるのです。つまり、私が生涯批判し続けた、あの共産党的上流階級そのものの世界の入口に立っているのです」 |
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