オンライン魂花時報WELCOME TO NAKAGAWA TAKASHI'S WORLD中川敬のシネマは自由をめざす!リスト > 被占領下パレスチナを訪ねて
NAKAGAWA TAKASHI'S ALL CINEMAS GO FORWARD TO FREEDOM !
被占領下パレスチナを訪ねて
  (2004年 日本)
  監督: 役重善洋
  英題: VISITING PALESTINE UNDER THE OCCUPATION
  主要舞台: パレスチナ
    制作:パレスチナの平和を考える会
2004年3月発売
税込1500円(送料300円) 解説ノート(28ページ)付

  「アル=アクサ・インティファーダはなぜ起きたのか」と副題を付けられたこのドキュメンタリー・ビデオは、2000年12月から翌年2月にかけてパレスチナを訪問した役重善洋氏(関西のNGOグループ「パレスチナの平和を考える会」palestine-forum.org)が、自ら撮影し、編集したもので、通信販売により簡単に入手可能だ。
  一か月半の滞在期間中に現地NGOや難民キャンプ、デモ現場などへ訪問取材して撮り貯めた三十時間分のテープを、自ら約七十分に編集。さすがに素人だけあって、手ブレ映像も、つたない繋ぎもおかまいなし、「映像芸術作品」としての完成度は望むべくもないが、役重氏の圧倒的な「伝えたい」情熱に溢れた、魂の一本である。
  2000年12月といえば、現在も続くアル=アクサ・インティファーダ(民衆蜂起)の勃発から三か月、シャロンが首相に就任し状況が極度に悪化する寸前の時期である(『プロミス』の項参照)。役重氏自身、付属パンフレット(解説ノート)の中で、この三年間のあまりの状況の変化に、自分が撮った映像が既に「賞味期限切れ」なのではないか、との不安を洩らしているのだけれども、政府広報に堕した日本のマスコミがパレスチナの惨禍(というよりはイスラエルの蛮行)を殆ど伝えない以上、本作のもつジャーナリズムとしての意義はとてつもなく大きい。
  本作は『入植地問題編(約三十五分)』と『難民問題編(約三十五分)』の二部構成で、前者ではヨルダン川西岸地区とガザ地区のユダヤ人入植地に近接するパレスチナ難民キャンプの現状を、後者ではパレスチナ難民やユダヤ人平和活動家のデモ、難民の「帰還権」について掘り下げている。
  内容の詳細については、丁寧な付属パンフレットともども、とにかく観てもらえれば分かるのでここでは触れないが、特に印象に残ったのが『難民問題編』に収録されているユダヤ人平和活動家達の「認識」である。例えば、彼らの多くが、パレスチナ人人口の三分の二を占めている難民の「帰還権」に関しては不問にしたりするのだ。やや認識がマシな団体「公正な平和を求める女性連合」ですら、加害者側にありがちな恩恵的解決策を披露する。「(ユダヤ人国家としての)イスラエルを破壊せずに解決する方法があります。イスラエルが難民問題について責任を認め、一部の難民にはイスラエルへの帰還を認め、残り全てには補償を与えることです」(デモの主催者ギラ・シヴィルスキー)。そう、侵略している側であるという認識が決定的に欠如しているのだ。これではシオニズムの枠内での傲慢なる妥協案に過ぎず、本質に目をふさいだ、抜本的な解決には程遠い「平和運動」である(もちろん、現在のイスラエルでこれだけの提案ですら大変なことなのだが)。
  もっともな意見を述べるユダヤ人平和活動家の意見も収録されているが、これは圧倒的少数派。「パレスチナに一つの、民主的で非宗派的な共和国を創ることが私達の信条です。難民の帰還は簡単なことです。シオニズムによって三、四百万人のユダヤ人や“半ユダヤ人”“非ユダヤ人”達を連れて来れるなら(※「ベルリンの壁崩壊」以降、ロシアや東欧から大量に移住したユダヤ系移民を指している)、ここで生まれ、追い出された人達にも(住む)場所があるはずです。実際、彼らが住んでいた土地の多くはそのまま残っています。私達は簡単にこの問題を解決出来るのです。これは原則的な問題です」。そう、忘れてはならない。1948年以前はユダヤ人も彼の地を「パレスチナ」と呼んでいたのだから。
  役重氏は言う。「今、パレスチナで起きていることが、決して、二千年間憎しみあってきた民族間の“暴力の応酬”でもなければ、日本人には理解出来ない宗教紛争でもないこと、そして、パレスチナの人々が求めているのは、人間としての尊厳を持って当たり前に生きたいということなのだということが、このビデオを通して少しでも伝われば望外の喜びである」
  とにかくこういったドキュメンタリー・ビデオは観てもらうしかない。本作(VHS)の通信販売での注文方法は以下のサイトへ。安価なので是非購入あれ。
  [palestine-forum.org/video.html ]