オンライン魂花時報WELCOME TO NAKAGAWA TAKASHI'S WORLD中川敬のシネマは自由をめざす!リスト > 禁じられた遊び
NAKAGAWA TAKASHI'S ALL CINEMAS GO FORWARD TO FREEDOM !
禁じられた遊び
  (1952年 フランス)
  監督: ルネ・クレマン
  原題: JEUX INTERDITS(FORBIDDEN GAMES)
  主要舞台: フランス
    発売元: アイ・ヴィ・シー
販売元: アイ・ヴィ・シー
〔DVD〕IVCF-2025 ¥3,800(税抜)/¥3,990(税込)
〔VIDEO〕IVKP-42 ¥3,800(税抜)/¥3,990(税込)

  ヌーヴェルヴァーグの怒れる下手人達によって、あっさり通俗主義と切り捨てられたルネ・クレマンではあったが、世代間闘争的に何があったにせよ、この映画が珠玉の名作であることに変わりはない。シネマ制作を取り巻く構造、技法、批評は時代と共に変化してゆくが、半世紀を経ても、ここにある強烈な魂のメッセージが揺らぐことはないのだ。
  そして、二十世紀最大の人気オルゴール・チューン、ナルシソ・イエペスの奏でるスペイン民謡 <愛のロマンセ(ROMANCE ANONIMO)> の旋律は、常にこの映画の映写幕と共にあるべきものなのだ。この名曲をギター教則本から解放せよ!  感傷のかなたにこそ、この映画の指し示す光の到達点はある。
  本作『禁じられた遊び』は、フランソワ・ポワイエの反戦小説『木の十字架・鉄の十字架』を映画化したもので、全員無名俳優によるオール・ロケ撮影、ルイス・ブニュエルと中川敬のベスト・シネマでもある。

  1940年6月、南仏の田園地帯。主人公ポーレット(ブリジット・フォッセー)の両親はパリからの疎開途中、独軍の機銃掃射によって虫ケラのごとく、あっけなく殺されてしまう。僅か五歳の少女に両親の「死」は到底理解出来ず、ポーレットは屍となった母の頬を不思議そうに撫でるのであった。
  戦争孤児ポーレットを引き取った農家、ドレ家の末息子ミシェル(ジョルジュ・プージュリ)は、銃弾によって死んだ子犬の「埋葬」の意味をポーレットに教え、そこから二人の葬式ごっこ、「禁じられた遊び」が始まる。
  ミシェルは、ポーレットと死んだ子犬の為に、小動物達の可愛い「共同墓地」を作ってやる。過熱する「遊び」はホンモノの十字架を盗むことにまで発展し、挙げ句、大人達に見つかり、こっぴどく怒られてしまう。
  しかし、現実、大人達の壮大なる「遊び」、戦争によって人間は虫ケラのように殺され続けている。盗まれた十字架の乱立する二人の「共同墓地」の、なんと安らかな風景であることか。命の尊厳、人間の詩情は、こちらにこそあるというものだ。
  そして、大人には理解出来ないこの「禁じられた遊び」をきっかけに、ポーレットとミシェルは大人達によって強引に引き離されることになる。大人への不信とポーレットを失う悲しみ。ミシェルの、集めた十字架を泣きながら川へ投げ込むシークェンスは、言語を超えたところにある「美しさ」だ。
  圧巻のラスト・シーン。尼僧に収容所へ連れて行かれるポーレット。「ミシェル、ミシェル」とつぶやきながら泣きじゃくるポーレットの耳に、突然「ママ!」と子供の声が聞こえてくる。その瞬間ポーレットは、失ったママの記憶を取り戻すのである。それまでのミシェルとの楽しい日々に於いて、ついぞ思い出さなかった両親の存在。
  「ミシェル」というポーレットのつぶやきは「ママ」に変わり、そしてその声は次第に大きくなり、「ママ!ママ!」と泣き叫びながら雑踏の中へ消えてゆく彼女を、カメラは鳥瞰してゆく。

  このラストシーン、観る者は滂沱の涙である。そして、その涙の先を大人達は子供達から問われ続けているのだ。
  なお、ルネ・クレマンは、アラン・ドロンを抜擢した傑作サスペンス『太陽がいっぱい』(1960年)を作り、映画表現をもってしてヌーヴェルヴァーグ勢に反撃した。