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西部戦線異状なし
  (1930年 アメリカ)
  監督: ルイス・マイルストン
  原題: ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT
  主要舞台: フランス
    発売元: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
「西部戦線異状なし」
価格:税込 ¥4,179(税抜 ¥3,980)
発売日:2004年9月29日
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  残念なことではあるが、今だにこの映画のもつメッセージは色褪せていない。トーキー時代初期の作品とは到底思えない緊迫した今日性に、今を生きる人類の果てしない愚かさを思う。発表年を見よ。
  第一次世界大戦に若くして従軍したエリッヒ・マリア・レマルクによる、世界的ベストセラー小説の映画化であり、史上初の本格的な反戦映画として広く知られている。
  原作者レマルクは二作目の『帰り行く道』に於いてもその行間に反戦思想をちりばめ、ナチスからの迫害の結果、1932年、スイスに亡命している。1933年、『西部戦線異状なし』は政権を奪取したナチスの宣伝相ゲッベルスによって焚書にされ、後にレマルクは国籍をも剥奪されている。

  舞台は1914年から1919年、第一次世界大戦に於ける西部戦線(ドイツとフランスの北部国境)。
  出征パレードに沸き返る中、教壇から生徒達に愛国心を説き、志願を煽動する老教師。
  「祖国に殉ずるのは麗しき名誉なり」。国威発揚にのせられた主人公ポールとその仲間達は大挙して入隊を志願。意気揚々と出征する。
  しかし戦場の最前線に「英雄」の居場所はない。
  餓えに耐えながらの行軍。連続する恐怖の夜。塹壕の中、失われる理性。迫り来る砲弾の雨あられ。そして、クラスメート達も続々と銃弾に散ってゆく。
  そこにあるのは、ただひたすら続く累々たる屍の山。阿鼻叫喚の地獄図でしかない。
  つかの間の休息時、兵士達は口々に言う。「皇帝なら一度は行軍する必要がある。将軍も、軍需産業の金持ちどももだ」「こうすりゃいい。野原に囲いを作って、切符を売り、そこに世界中の王様、閣僚、将軍を集合させて、パンツ一枚で棍棒の殴り合いをさせる。その方が勝負も早いぜ」
  白兵戦の中、遂にポールも生き延びる為にフランス兵を刺し殺すが、死んだ兵士のポケットから妻子の写真を見つけて苦悶するのであった。
  負傷休暇の為、数年ぶりに帰った郷里では、相も変わらず老教師は生徒を煽動。父親までもが「早くパリを陥落せよ」と言う始末。幾多の戦争の例に漏れず、ここでも戦闘員と非戦闘員の線引きは曖昧だ。
  ポールは後輩達に言う。「最初の砲撃で目が醒めた。戦死はただ汚く、無惨だ。国の為になど死んではならない。無駄死にだ」と。
  帰るべき故郷を失ったと嘆くポールは戦場に戻る。「とにかくここ(戦場)には嘘がない」
  停戦ラッパの音を聞き、微笑みながら塹壕から延ばしたポールの手は、可憐な一羽の蝶を捕まえようとする。
  静寂を破るフランス兵の放った銃弾の音。呆気無い一兵卒の死。映画史上有数の鋭い銃声だ。
  そしてこの日、前線からドイツ軍司令部への報告は「西部戦線異状なし」であった。

  ちなみに、主人公ポールを演じたリュー・エアーズは、1941年、第二次世界大戦で良心的徴兵拒否を宣言している。そんなところにも当時の、本作による多大な影響力を伺い知ることが出来る。
  1930年、既にこの一本が戦争讃美の愚かさを見事に看破しているのである。
  戦闘シーンを美化しながらの「反戦映画」に一体何の意味がある。脳天気なハリウッドのニセモノどもよ。